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Last Day ニューヨーク

Posted by on 2011/05/02
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今日のルート



昨日は190kmを走ってフィラデルフィアに着くことができた。残りの距離は160kmだ。今日目指すのはもちろんニューヨーク。自由の女神が見える公園が今日のゴールだ。

最後の朝



最後の朝もいつものように朝4時にホテルを出ようとした。しかし、都会のホテルのせいかセキュリティが厳しくチェックアウトにいつもより時間がかかってしまった。早く走りたくて僕らはやきもきとした。
ホテルを飛び出すと、僕らは真っ暗なフィラデルフィアの街の中を駆け抜けた。ほんの10分も走るとニュージャージー州へと渡る橋に着いた。ところがそこで思いもよらないことが起きたのである。

ベンジャミンフランクリンブリッジ



僕らはニュージャージーに渡る大きな橋の前に来て愕然とした。なんとその橋のバイクレーンは門により固く閉ざされていたのである。そこには6時までこの門は開かないと書いてあった。
せっかく早く起きたというのに、その足止めはあんまりだった。他の道を探そうにも、迷う確率が高くて余計に時間がかかるだろう。僕らに残された選択肢はここで門が開くまでまつことだけだった。しかたなく橋のたもとで、僕らはしゃがみこんで時間を潰した。



さっきまで暗かった空は段々と明るくなってきた。僕はぼーっと橋の向かい側を見ていた。向こうの方から颯爽と誰かが走ってきた。毎日この辺りを走ってトレーニングしてる人なのだろうな。それぐらいに思っていたら、その人は橋に向かってペースも落とさずに突っ込んできたのである。どこからともなく現れた警官が鍵を開けて門を開いた。その人はそのまま反対側のバイクレーンを駆け抜けて行った。

「ほら!向こう側が開いたよ!」

僕はしゃがんで下を向いていたM女史にそう言った。時間は5時半だった。僕らは道の反対側に周り、やっと開いた門をくぐった。



待たされたがおかげで橋の上では綺麗な朝焼けが見れた。その朝焼けと街に残った灯りがマッチして最高の景色だった。
そうして僕らはやっと次の州、ニュージャージーへと入ったのである。

ニュージャージー

ニュージャージーに入った直後、いきなり僕らは道を間違えた。橋を降りて太い幹線道路を真っ直ぐに行けばいいと思っていたら、何故か道はどんどん南へ行く。僕らが向かうのは北の方だ。戻らなければ!
僕らはショッピングセンターの駐車場など道無き道も進んでとにかく北を目指した。かなり入り組んだ高架橋なども走り、程なくして正しい道に戻ることができた。



その道は閑静な住宅街だった。綺麗な並木道で車も少なく走りやすかった。どの家の庭も芝生は綺麗に手入れされていた。今まで家の住人が庭を草刈り機で走り回っている光景を何度も見てきたことを思い出した。
その住宅街を抜けた次の曲り角。そこを曲がると道はとても広くてまっすぐなきれいな道だった。車も少なくてその道沿いにはほとんど何もなく、たまに店がポツリとあるぐらいだった。そんな道を走っていると車の窓を開けて僕らに向かってガッツポーズをしてくれた人がいた。なんとなく

「よくここまでがんばったな、あと少しだぜ」

と励ましてくれているような気がした。
僕らはそろそろお腹がすいてきたので、次に何か見つけたら何でもいいから入っておこうと話をしていた。そうしてたどり着いた最初の店はなぜか肉屋だった。僕らは中に入ってみた。日本だと肉屋さんではよくコロッケが売っていたりするが、アメリカではハンバーガーが売っていた。僕らはハンバーガーを食べた。鉄板で焼いた焼きたての肉を挟んだそのハンバーガーはなかなかにおいしかった。
ついでにニュージャージーの地図が売っていたので買っておいた。今までも州が変わるたびに地図を買ってきたがこれで何枚目だろうか?
そこからしばらく走って、なぜかT字路にたどり着いた。そんなところにT字路があるはずはなく、そこで僕らはまたしても道を間違えていたこと気がついたのである。僕らは先ほど買った地図を早速広げてみた。一体ここはどこなのだろう。
そしたら近所を散歩していたおじさんが親切に道を教えてくれた。どうも微妙に向きが違う道を20kmほど進んでしまったようで、本来の道から20km以上は離れているようだった。既に手元のコマ地図は役に立たず、僕らはその州地図を頼りに向きを合わせて北へ向かう道を進んでいった。
元のルートまでの道も真っ直ぐではなかった。やっと元に戻ったと思ったころには30kmも余分に走ってしまったのである。随分な距離をロストしてしまった。ニューヨークは確かにすぐそこのはずがなかなかたどり着けなかった。いつになったらゴールまで行けるのだろうか。時間はもうお昼過ぎになっていた。

海だ!



そこからしばらくかなり車の多い道を走った。そして道は橋に差し掛かった。橋の左手は川だった。しかし右側。それは川ではなく海だった。大西洋だ!

「海だよ、海!」

ついに僕らは西海岸をスタートして、反対側の海までたどり着いたのだ。ゴールまではあと少し。ほんとにあと少しだと思い、僕らは再び走りだした。

ニュージャージー中心街



橋を渡ると途端に景色は都会になってきた。車も多いうえマナーの悪い車も増えてきた。そんな中を僕らはひたすら走った。
ニュージャージーの中心街になると、道も入り組んでいてなかなか思った道に出なかったりした。出歩いている人も段々と多くなってきた。
そんな街の中、黒人の少年が乗ったマウンテンバイクが勢いよくM女史の横を追い抜いて行った。どうやらカマをかけられたようで、今日はM女史がそいつを追いかけて行った。しばらく一緒に走っていたが、行き先が違うところで手を振って別れた。
昼間は活気もあるこの街も、どことなく殺伐とした感じがあり、夜中に近付くとマズそうな雰囲気がひしひしと感じられた。
最後の公園に行くには橋を渡らなければならなかった。しかし、その橋がなかなか見つからなかった。やっと見つけたと思って渡った橋は、何もない倉庫地帯にでた。ただただ数台のトラックだけが走る閑散とした場所だった。
僕らは再び街の方へ戻り道を探した。そしてやっと橋へと続く道を見つけたのだった。それはさっきこっちかなと思いながらも選ばなかった道だった。

恐怖の橋
「馬鹿野郎」

僕らはそんな罵声を浴びせられながら公園へと続く橋に向かう道を走っていた。上を見上げるとハイウェイがあり、こっちの下道は車は少ないだろうとふんでいたのであるが、しかしそこはトレーラーと車が途切れることなく走りまくっている三車線の道路だった。
僕らは道路の路側帯で一旦立ち止まった。目の前には大きな橋があったが、側道はなく自転車で走るのにはどう考えてもそぐわないように思えた。しかしここまで来たが最後、車が多すぎて戻る事もままならない。僕らは橋を渡るしかなかった。どの道そこを行かなければゴールにはたどり着けないのだ。
M女史は先頭をきってその橋に決死の覚悟で突っ込んでいった。こんなにも車が走る中、真後ろから車が来るのがまだ怖かったのだ。僕はすぐ後ろをついて行った。
何台もの車がかすめるように追い抜いていく。そして気がつくと後ろには大きなトレーラーが迫っていた。

「とにかく真っ直ぐ走れ。真っ直ぐ!」

僕はそう叫んで必死に進んだ。先の方に橋の終わりが見えた。あそこまでたどり着かせて下さい。それは祈るような思いだった。
何とか橋を渡り切ってホッとしたのもつかの間、そんな橋がもうひとつあったことに僕らは愕然とした。僕らは再度死ぬような思いで橋を駆け抜けた。橋を渡り終えた頃には、精も根も尽き果てたようになってしまった。もう二度とこんな橋は渡りたくなかった。

リバティステートパーク

橋を渡ると、あとは道は真っ直ぐだった。すぐ先に公園の緑が見えた。流石に公園まではもう迷うことはなかった。
公園からは自由の女神を見る事ができるフェリーが出ているはずだった。自由の女神を見ながらマンハッタン島へと渡るのだ。僕らはそのフェリー乗り場を探した。
公園の先にフェリー乗り場らしき場所があった。僕らはそこを目指した。早く自由の女神が見たかった。
しかし、公園にたどり着くのが遅過ぎたようだった。時間は6時をまわっていた。既にそのフェリー乗り場は閉まっていたのだった。フェリーの船員らしい人に聞いても、「今日は終わったんだ、あっちへ行け」と言わんばかりに追い返されただけだった。
僕らは路頭に迷ってしまった。せっかくここまで来たのに船に乗れないなんてあんまりだと思った。しかもマンハッタン島に行く方法も全く見当がつかなかった。ふと、さっきの恐怖の橋を戻って別の道を探さなければならないのかという考えが頭をよぎったが、それだけは絶対に嫌だった。
僕らは他にもこの公園に何かあるはずと思い、その公園の中をまわってみた。すると向こうの方で小さな船から数人の人が降りて来るのがみえたのである。僕らは、もしやと思いその船に近付いてみた。
僕はちょうどその船をおりて来たばかりの女性にこの船が何なのか聞いてみた。その女性は親切にこれはマンハッタン島へ行く渡し舟だと説明してくれた。チケットは中で買えばいい事も教えてくれた。
そんなやり取りをみていた船員が、お前たち早く乗りなと言ってくれた。船はすぐに出るらしかった。

ニューヨーク

僕らは船に乗り込んだ。それと同時に心底ホッとした。やっと、やっとたどり着くことができた。いろんなことがあり過ぎてほんとに長い道のりだった。





船は心地の良い風と共にマンハッタンへと向かっていた。船から体を乗り出しながら周りを見ていると、船員が上のデッキへ行きなよと勧めてくれた。デッキからはニューヨークの景色を一望する事ができた。マンハッタンに建ち並ぶビルは夕日の光を受けて橙色に輝いていた。ほんとに綺麗でそれは最高の瞬間だった。振り返ると自由の女神が立っているのが見えた。
僕らはお互いの顔を見た。二人とも涙でいっぱいだった。
夕焼け空を背に船はマンハッタン島へと向かっていった。


One Response to Last Day ニューヨーク

  1. AKIO!

    おお!ついに到着!!やったね!!!
    こっちも1985年8月某日におんなじ町へGOALしました。今、その時の感動が急速に甦ってます。あの感動は、やった者だけが味わえるもの。お互い、大切にしたいですね。
     ちなみに、あっしはフェリーではなく、PATHなる地下鉄でMANHATTAN入りしました。

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